不思議な懇親会


不思議な懇親会でした それは
同窓会のようでもあり
同級会のようでもあり
同郷会でもあるようでした

司会の人が
祝辞を賜ります
 と 拍手し率先して迎えた人に
皆が 仰天しました

 みすぼらしいネクタイ
穴の開いたスーツ
今にも2つにさけそうな靴

その目はホームレスより
 ショボショボ

風采はこの上なく祝賀のセレモニーに
ふさわしくなく 会場がざわつきました

司会者は こう言いました
落ち着いて下さい
皆さんはこの方を御存知です
知らないとは 言わせません

かつて中学を卒業後 塗装工として
億のお金を稼いだ バブルの時がありました

しかし景気が後退し
やはり億の負債を抱えるようになりました

その後妻子を残し自殺して世を去りました

命日の夜が近づくと
夜ごと お経の声が墓石に流れていたそうです

 このみすぼらしい人こそ
 この人です
 この人は このような身なりで
墓石の前に現れたのです

平家物語の 耳なし芳一のように
檀家の供養にお寺が訪れたと聞きました

時は過ぎ会場にいた人々も今はすでに故人
時は雲のように川の水のように流れ
墓石になって眠りについています